※進化心理学の考え方を、中学生にもわかるように解説しています。
なんで“いっしょにやろう”って思えるのか? ── 共感と文化が生む協力のチカラ
「いっしょにやろう」「手伝おうか?」
そんな言葉を聞くと、なんだかうれしくなりますよね。
人間は、誰かといっしょに何かをするのが得意な生き物です。
では、なぜ私たちは「協力したい」と思うのでしょうか?
それは、心の奥にある“共感する力”と、“文化を受け継ぐ力”が、大きく関係しているのです。
赤ちゃんにもある「助けたい」気持ち
2006年、ヴァルネケンとトマセロという研究者は、1歳〜2歳くらいの子どもたちが、自然と他人を助けようとする行動を見せることを発見しました。
たとえば、大人が物を落として困っていると、まだ言葉もあまり話せない赤ちゃんが、それを拾って渡そうとする。
このような行動は、「教えられたから」ではなく、生まれつき持っている“思いやり”のしるしだと考えられています。
このことから、「人を助けたい」という気持ちは、人間の心に最初から備わっているものかもしれない、とわかってきたのです。
「いっしょにやろう」は、人間だけの特別な力?
2005年、トマセロたちはさらに、チンパンジーと人間の子どもを比べる研究をしました。
すると、人間の子どもは、相手の考えや気持ちをくみ取って、「いっしょにやろう」と行動を合わせる力が、チンパンジーよりもずっと強いことがわかったのです。
この力を「意図の共有(shared intentionality)」といいます。
「この人はこれをしたいと思ってるんだな」「じゃあ私はこうしよう」と、相手の意図を理解し、自分の行動を合わせることができるんです。
この力があるからこそ、私たちはグループで活動し、文化を学び、ルールを守りながら、大きな社会を作れるのです。
協力は、文化で育てられる
人は、「こうしたほうがいいよ」と言われたり、まわりの人を見たりして、協力のしかたを学んでいく生き物です。
そして、そのルールや思いやりの心は、文化として世代を超えて伝えられていきます。
「ゴミを拾ったらありがとうと言う」「みんなで分けあう」
こんな当たり前のようなルールも、実は人間だけが持っている“学びの文化”からできているんです。
学校や家での例
- グループ活動で「役割分担しよう」と声をかけたら、みんなが協力しはじめた
- おうちの人が料理をしているときに、「手伝うよ」と自然に言えた
- 図工や体育で「いっしょにやろう」と声をかけ合って、いい作品やプレーができた
こうした「いっしょにやる」という行動は、人間の心の進化と文化の積み重ねの結果なのです。
まとめ
- 小さな子どもにも「人を助けたい」という気持ちは生まれつきある
- 相手の意図をくみ取って「いっしょにやる」ことができるのは、人間だけの特別な力
- 協力は、生まれつきの力と、文化の学びによって育てられている
- 「いっしょにやろう」という言葉の中に、人間らしさがつまっている
