Behavioral Economics, blog

「がんばる」はもう卒業!

※行動経済学の考え方を、中学生にもわかるように解説しています。

「がんばる」はもう卒業!── 意志に頼らず、仕組みで動く方法

「明日から毎日ランニングする!」「今度こそ早起きして勉強する!」

やる気を出したのに、気づいたらやめていた。そんな経験はありませんか?
それは「意志が弱いから」ではなく、人間の脳の“くせ”によるものです。

目の前の楽しさやラクさに流されてしまうのは、ごく自然なことなんです。

オデュッセウスは自分をしばった?

カーランとジンマン(Dean Karlan & Jonathan Zinman)という研究者は、フィリピンでちょっと変わった貯金の仕組みを試しました。
それは、「途中でお金を引き出せない口座」をつくって、使わずに貯めてもらうというものです。すると、普通の口座よりたくさんお金を貯めることができました。

この研究には「オデュッセウスをマストに縛る」というタイトルがついています。
ギリシャ神話のオデュッセウスは、セイレーンという誘惑に負けないために、自分を船にしばりつけました。それと同じように、「あとでサボるかも」と思ったら、先に自分をしばる工夫をしておくことが大事だと教えてくれているのです。

未来の自分は信用できない?

ライブソン(David Laibson)という研究者も、面白いことを発見しました。

人は「今すぐの楽しさ」はとても大きく感じるのに、「あとでの得」にはあまり強くひかれないのです。
たとえば、「今チョコを1つ食べる」か「1週間後にチョコを3つ食べる」と言われても、分かっていてもつい“今”を選んでしまう。これは、脳が「今」をとても大事に感じてしまうくせのせいです。

だから、「未来の自分はきっとサボる」と考えて、今のうちに自分を動かす工夫を作っておくことが大切なんです。

がんばらなくても動ける工夫

こうした研究からわかるのは、「がんばるより、しくみが大事」ということです。

たとえば、宿題をするときはスマホを別の部屋に置いておけば、つい触ってしまうのを防げます。
また、「この時間に一緒に勉強しよう」と友達と約束しておくことで、自分だけサボるわけにはいかなくなります。
そして、習いごとを先に予約しておけば、「もう申し込んだし」という気持ちが自然とやる気を引き出してくれるのです。

このように、自分がサボってしまうかもしれないことを前提にして、先に工夫しておくと、無理なく行動を続けられるようになります。

学校や家でできる工夫

  • 朝、家族や友達に「今日の目標」を声に出して言ってから学校に行く
  • 宿題の時間にはスマホを決まった箱に入れる
  • カレンダーに「この日はこれをやる」と書いておく

こうすれば、毎日「やる気」を出さなくても、スムーズに動けるようになります。

まとめ

  • 人は目の前の楽しさに流されやすい
  • 「がんばる」より「しくみを作る」方がうまくいく
  • 先に「サボらないようにしておく工夫」で、行動が続く

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