※行動経済学の考え方を、中学生にもわかるように解説しています。
人はなぜ「不公平」に怒るのか?── 不公平嫌悪(Inequity Aversion)の心理
あなたは、友達とお菓子を分けるときに、自分が1個しかもらえず、友達が9個持っていったら、どんな気持ちになりますか?
「ズルい」「なんで私だけ?」と、不満に思うかもしれません。たとえ全体として得をしていなくても、「自分と相手の差」が大きいと、人は不公平を感じて怒りたくなるのです。
この「不公平に対する嫌悪感」は、私たちが日常生活の中でよく感じるものであり、人が協力したり、ルールを守ったりする力の源でもあります。
“ずるい”って感じる気持ちが、競争や助け合いにどう関係してるかを考える研究
フェールとシュミットという研究者は、「人はただ自分の得だけを考えるのではなく、“他の人と比べて自分が損していないか”を気にしている」と主張しました。
たとえば、自分が1000円をもらい、友達が2000円をもらったとします。
自分は得をしているのに、なぜか不満に感じてしまう…。このような感情を、彼らは「不公平嫌悪」と呼びました。
彼らの実験では、人々が、自分が得をする機会でさえも「相手との不公平が大きすぎると、あえて断る」という選択をする場面が多く見られました。
つまり、人は“自分だけが損をする”だけでなく、“自分だけが得をする”ことにも不快感を持つのです。
“自分の取り分がどれくらい公平か”を気にする人の気持ちを説明した理論
別の研究者であるボルトンとオッケンフェルスは、もう少し違う視点から公平性を考えました。
彼らは、人が感じる「公平」とは、自分と他人との“取り分のバランス”によって決まると説明しました。
同じ1000円でも、「みんなが1000円ずつもらっている」ときと、「自分だけが1000円で他の人が2000円や3000円もらっている」ときでは、感じ方が大きく変わるのです。
つまり、「どれくらいもらったか」よりも「周りと比べてどうか」が、人の満足感や怒りを決めるという考え方です。
なぜ人は不公平を嫌うのか?
それは、人間が協力して生きる存在だからです。
もし、ズルい人やルールを破る人ばかりが得をする世の中になれば、まじめに頑張る人はやる気をなくしてしまいます。
だから、人は不公平を見つけると、「それはおかしい」「ちゃんとフェアであってほしい」と感じるようにできているのです。
この感情は、単なるワガママではなく、社会全体の協力やルールを守る力を支えている“正義感”のようなものです。
教室での例
- みんなで掃除したのに、一人だけ何もせずスマホをいじっていた
- グループ発表で、自分だけが準備を頑張ったのに、他の子が評価された
- 宿題を真面目に出しているのに、出していない子が同じように扱われた
こうした場面でモヤモヤした気持ちになるのは、「ちゃんと公平にしてほしい」という、人として自然で健全な反応です。
まとめ
- 人は、自分と他人の間に大きな差があると「不公平だ」と感じ、強く反応する
- 「自分の取り分」だけでなく、「他人とのバランス」をとても気にする
- こうした感情は、社会の中で協力やルールを守るためにとても大切なもの
