※行動経済学の考え方を、中学生にもわかるように解説しています。
「ちょっとだけ」で動ける魔法── 大きな目標を小さくわけると、やる気が生まれる
「今年は100冊本を読む!」「夏休みに苦手な数学を克服する!」
そんな目標を立てたのに、三日で挫折したことはないですか?
それは、目標がダメなんじゃなくて、目標が“大きすぎる”だけなんです。
人は「先が長いなあ」と感じると、それだけでやる気が下がってしまう生き物なんです。
小さな達成がやる気をつくる
ミンジョン・クー(Minjung Koo/クー)とアイェレット・フィッシュバック(Ayelet Fishbach/フィッシュバック)という研究者は、目標に向かって進むときに「どこを見るか」でモチベーションが変わることを調べました。
彼女たちの研究では、「あとどれくらい残っているか」より、「どれだけ進んだか」を意識する方が、やる気が出やすいことがわかりました。
たとえば、「あと90ページも残ってる…」と思うより、「もう10ページも読んだ!」と考えるほうが、「もっと読もうかな」という気持ちになるというわけです。
つまり、「少しでも前に進んでいる」ことを実感できると、人はそれを続けたくなるのです。
行動は“今すぐできること”にしよう
テッド・オドノヒュー(Ted O’Donoghue/オドノヒュー)とジョージ・ローウェンスタイン(George Loewenstein/ローウェンスタイン)は、「今すぐできる行動」がやる気につながりやすいことを研究で明らかにしました。
彼らは「すぐに効果を感じられる行動(=即時フィードバック)」があると、習慣は続きやすいと指摘しています。
たとえば、「毎日1ページでも日記を書く」ことで「今日もできた!」と実感できると、それがごほうびになって次もがんばれるようになるということです。
「小さく始める」が続けるコツ
人のやる気は、「できた!」という達成感に支えられています。
いきなり大きなことをしようとすると、達成するまでに時間がかかりすぎて、やる気が保てません。
でも、小さなステップならすぐに終わるし、すぐに「できた」が感じられます。
そうすれば、自然と「もうちょっとやってみようかな」という気持ちも生まれてきます。
学校や家でできる工夫
- 「今日は英語の単語を3つだけ覚える」など、最初の目標を小さくする
- 「1ページだけ読む」「5分だけやる」と決めて、行動のハードルを下げる
- 勉強したら、ノートに◯印をつけて“やった感”を見えるようにする
ちょっとした達成が、次の行動のエンジンになります。
まとめ
- 大きすぎる目標は、スタートするやる気を消してしまう
- 「どれだけ進んだか」を見たほうが、やる気が続きやすい
- 小さく始めて、「できた!」を積み重ねよう
